短編

□会いにいきます
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帰りにお兄さんから何故かボクシングのグローブをプレゼントされ、今日服装検査でネクタイを忘れたのに雲雀さんは、

「誕生日なんでしょ。見逃してあげる。」

そう言って咬み殺されなかった。
みんなが優しい言葉をくれる。
とても幸せだった。

なのに、何かが足りない。

「十代目、どうかしましたか?」

「う、ううん!何でもないよ!」

その後三人でゲームセンターで遊んで、街をぶらぶらして、二人からも誕生日プレゼントを貰った。
袋を開けると中から、オレンジ色のミサンガが出てきた。

「わぁ、綺麗な色…」

「だろ?俺が選んだんだぜ?」

「けっ、十代目にはピンクが似合うって言ったのに…」

いや、ピンクは嫌だ。
と心の中で突っ込んだけど、口には出さなかった。
二人が喧嘩しながらあーだーこーだ言って選んでくれたんだろうなって思うと、クスリと笑いが出た。

「十代目、実は…」

おずおずと獄寺君が上げた腕には、俺がくれたミサンガの色違いの赤いミサンガが付いていた。
俺もっと言って山本の腕にも青いミサンガが。

「守護者全員分のミサンガ買ったんだ。…まぁヒバリは付けないだろうけど。」

山本の手のひらにはまだ俺ら以外の4色のミサンガが残っていた。
ランボ用だろう緑色のミサンガは凄く小さくて、よくこんなの見つけたなと関心した。
その中のインディゴ色のミサンガを、俺は何故か取った。

「んー?どした、ツナ」

「これ、俺が渡していい?」

「それはいいけど…骸に会う予定でもあんのか?」

「!」

何も考えてなかった。
ただ口が勝手に動いて、何故か骸に会うような気がしたのだった。
どうしてだろう。

何も喋らない俺を気遣ってか、山本は何も聞かずにミサンガを俺に渡してくれた。
獄寺君も見ていたけど、何も言わなかった。

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