短編

□一筋縄ではいかないようです
1ページ/6ページ


コンコン

「はい、どうぞ。」

「こんにちはー」

「え!?…こりゃまた珍しいね。」


[一筋縄ではいかないようです]


十年後、俺はあんなに嫌がっていたマフィアの世界に入り、ボンゴレ十代目となった。
相変わらず周りは天然腹黒や十代目十代目と叫ぶ犬と、暴力沙汰ばかりの黒い人や変態南国果実がいる。
それを束ねるのは簡単だった。
だって変態だから。
だけどあの暗殺部隊はそうはいかない。
と思っていたが、意外に「お願い」と可愛く言うとあっさりと任務に出てくれたりするのだ。
あちらも変態みたいだ。

だけど、互いに実際忙しいし、会社的にいえば部署が違う為、なかなか会うことなんてなかった。
ザンザスとはボスの会合でちょこちょこ顔を合わすくらい。
その度にドカスが、と意味もなく頭をコツンと叩くが。(まぁどうでもいい)

今、目の前に居るのはヴァリアーの中でも会うことは極めて少ない人物。

「どうしたのフラン君。珍しいね…ってか会うことも三回目くらい?」

「そうですねー、お久しぶりですー。」

新入りの時の挨拶と、ヴァリアーとボンゴレ合同の任務で会って以来。
実際会話らしい会話などしたことなくて、ただ雰囲気で世間に興味なさそうな子だなっとしか感じ取れなかった。

「で、何か用?」

「報告書渡しに来たんですよー、ほら。」

「あ、あぁ。ありがとう。別に急がなかったのに。」

ペラっと渡された一枚の紙を受け取ると、さっと目を通してサインし、彼へまた返した。
だがいつまで経っても彼は帰る気がないようだ。

「…」

「…」

この空気はなんだ。
どうしたらいいんだ。
な、何か世間話でもしたらいいかな…?

「さ…最近どう?」

あぁ、何を聞いているんだ俺はああ!
顔は少し微笑んで言ってみたものの、多分引き攣っているだろう。

「どうって…何がですかー?」

うん。妥当な質問だと思うよ、フラン君。

「えっと…その、」

「今気まずいなーなにか話さなきゃなーって思いましたー?」

うーんと唸っていると、彼はズバリと俺の心の声を言い当てた。
大きくビクリと肩を動かすと、彼はやっぱりと言いニィと口角を上げて笑った。

.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ