短編

□sweet melt
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買い物を済ませ、家の玄関を開けると仁王立ちしたリボーンが立っていた。
体は小さいのにオーラは大きく、思わず後ずさりをしてしまう。
リボーンは俺の買い物袋をパシリと奪い、ガサゴソと中を拝借した後、フンと鼻を鳴らして袋を返してきた。

「な、なんだよっ!」

綱吉は恥ずかしくなり袋をガシリと奪え返すと、靴を脱いで自室へ上がろうとした。
するとリボーンはそれは楽しそうに口角をニィと上げた。

「ほぅ、手作りとは感心じゃねぇか。」

その言葉に綱吉は階段を上がろうとした足をピタリと止めた。
手作り…?
俺作るなんて一言も言ってないけど…。
なんて思っているとリボーンの飛び蹴りが飛んできた。

「ったあ!な、何すんだよ!」

「…まさかお前…その板チョコそのまま渡そうとしてるんじゃねぇだろうな?」

「そうだけど?」

そしてもう一度飛び蹴りが飛んできた。
小さい体なのに凄く痛い。痛い痛い。

「お前そんな事してみろ。ヒバリがどんな顔になるか。」

チョコを買うことだけでいっぱいいっぱいだった綱吉は、何にも考えていなかった。
リボーンに言われて、板チョコを渡す想像をしてみると、そこには不機嫌な顔の雲雀がいた。
想像の中なのに、その顔は凄く怖い。
不機嫌になるのは当たり前だ、綱吉だって板チョコをはいっと渡されたらガッカリする。
どうしてそんな単純な事が分からなかったのだろうか、と問えば、女の子がいっぱい居たからという訳のわからない答えになるけど。

一人あわあわと焦っている綱吉のこめかみに銃口が向けられた。
無言の訴え。
リボーンは今すぐ作れと言っているのだろう。

「む、りだよ…っ」

「チョコ溶かして一緒に買ったピーナッツ入れて、固めろ。板チョコより随分マシだ。」

そういうとリボーンは出掛けてしまった。
溶かし方もしらないし、一緒に買ったピーナッツだって塩味が付いたお菓子だ。
チョコと混ぜていいものか分からないが、バレンタインはすぐ目の前まで迫っている。
日曜日だけれど、学校で会う約束をした綱吉は必ず明後日には用意しないといけない。
なんせわざわざ彼が日曜日なのに、俺を学校へ呼ぶなんて、期待しているに決まっているから。

「…よ、よしっ」

こうして綱吉は雲雀へのバレンタインチョコを手作りすることとなった。

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