短編
□車とキーとひばり先生
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*同伴
昨日と同じ綺麗な黒の高級車に乗り込み、教習所へと車を走らせた。
チラリ、と運転する姿を見た綱吉はやっぱり緊張してしまう。
今冷静に考えればどうして勉強を教えてくれたんだろう。
家に上がらせてくれたんだろう。
教師として当たり前のことなのだろうか…?
考えすぎて脳内がパニックになっていると、頭の上にぽふっと何か物体が降ってきた。
「え!?な、何?」
物体を取って見てみると、それは先程アサアサと騒いでいた黄色トリだった。
サイドミラーで見てみると黄色トリはもそもそと動き、ぴたりと止まったかと思うと、うとうとと眠り始めた。
「うわー寝ちゃったや…」
「…珍しいこともあるんだ。」
「何がですか?」
「そのトリ、僕以外には懐かないから。」
エサに吊られ寄って行くことはあっても、何もなく自分から他人へと心を許したその黄色トリを見たのは初めてだ。
「やっぱり飼い主に似るのかな。」
「え?なんか言いました?」
「何でもないよ。」
自然と出てしまった言葉に雲雀自身も驚いていた。
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