短編

□equal
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『ディーノさん、お久しぶりです!』

さっきも言ったが国際電話は料金が高い。
電話番号は教えて貰っていたものの、実際掛けたのは今日が初めてだった。
電話の向こう、イタリアでディーノさんがはしゃいでいるのが凄く伝わった。
喜び過ぎて踊ってでもいたのだろうか、ドテンと音と共にいてぇ!と言う声も聞こえる。
きっと部下の人達はいないんだろう。

『嬉しいなあ!どした、ツナ?』

『あの、実は…』

雲雀さんの誕生日が近いこととプレゼントを迷っていることを告げると、ディーノさんはあははと笑いだしたではないか。
別に笑えるような話はしていないのに。
なんで笑っているんだろうと思っていると、笑い終えたディーノさんがアドバイスをくれた。

『そんなの簡単じゃねぇか。まず赤いリボンを用意して、それを恭弥に渡せばいい。そしたら恭弥はそのリボンをツナに巻き付け、「君をプレゼントしてくれるなんて嬉しいよ」とか言ってツ…』

何度もいうようだが国際電話は料金が高いのだ。
長々と電話すると母さんにも迷惑がかかる。
…まあ切った理由は料金の問題ではないのは明白だが。
俺は再びため息をついて頭を捻らしていると、見かねたリボーンが口を出した。

「だったら本人に聞けばいいじゃねぇか。何が欲しいか。」

「でも、それじゃあ…」

誕生日を初めて一緒に祝うのだし、プレゼントもサプライズで用意したい。
実は優しい彼だから何をあげても喜んでくれるのだろうけど、本当に喜んでもらえるような物をあげたいのだ。
心からありがとうと言われたいのだ。

「お前…この前の誕生日の時ママンから貰ったくまのぬいぐるみ、嬉しかったか?」

リボーンの視線は押し入れにしまってある茶色いくまへ向かった。
閉じているためここからは見えないが、開けると奥の方できっと転がっている。
俺が十四歳の誕生日の時、美味しそうなケーキと共に渡されたのはくりくりおめめのくまちゃん。
女の子じゃあるまいし、もし女の子でも十四歳となればぬいぐるみを貰って喜ばないだろう。
でも、満面の笑みで笑う母さんにいらないなんて言えなかった。

「仕方ない…か。」

欲しいものを彼に聞こう。
答えてくれるかは分からないけれど、俺と同じ思いをして欲しくないから。

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