短編
□反則です
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これが世間一般でいうギャップ萌えというのだろうか。
胸がずくんと高鳴り、まるで雷が落ちたかのように。
少し前、彼との出会いは最悪だった。
応接室を何も知らずに踏みこんでしまったおかげで滅多打ち。
幸い咬み殺される程にぎたんぎたんにはされなかったが、あの恐怖だけは体に染みついている。
「沢田、好きだ。」
そんな彼にいきなり告白されたのはほんの少し前。
応接室を訪れた後、何故か絡まれるようになっていて、何度も見かけるようになった。
何かと呼び出しをされたり、帰りバイクで送ってもらったり。
あんなに怖かった感情はいつしか柔らかいものになってはいたが、それは恋ではなかった。
「僕のものになりなよ。」
でもこの風紀委員長様は違ったようだ。
同性だからとか関係ない、君が好きになってしまったんだとそう告白された。
その表情は凛としていて、とてもかっこよかった。
ドキドキと胸が高鳴ったけど、これは恋なのかと聞かれたら少し違うと思う。
京子ちゃんが微笑んだ時と違うのだ。
「…ごめんなさい。」
頭を下げ謝ると彼は悲しそうな表情をし、そうと言って立ち去って行った。
その顔にも胸がズキズキと痛んだ。
でも、恋なんかじゃない。
だって相手は雲雀さんなんだぞ?
ふるふると頭を左右に振り、俺もその場を立ち去った。
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