The same different town moon
□〜壊れた世界〜
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「 ようこそ『黒の教団』へ。」
新しい記録地。
ヴァチカン直属対アクマ軍事機関『黒の教団』。
ブックマンのオレらはエクソシストとして歴史の闇に隠蔽されるだろう人と悪魔の対戦を記録する―。
ラビ「……」
ジジィと室長が話してる間、オレは大聖堂の2階部分から見える光景を何の感情もなく見下ろしていた。
ラビ( ざっと見、100はイッてっかな。)
大聖堂の端から端まで規則正しく並べられた棺。
それにすがって泣く人達。
生きてる方もケガ人だらけ。
大聖堂だってのに薬品の臭いすら漂っている。
こりゃー…
ラビ「 …負け戦だねぇ 」
呟いたオレの視界に一人の女の子がうつった。
棺の傍に座り込み涙を流す女の子―。
その姿に感じたのは、
こんな普通の女の子もエクソシストなんかってこと。
それ以外はなんも思わなかった。
だってオレは『傍観者』だから―
ラビ「 ……? 」
大聖堂から目線を外したオレの視線は2階部分の自分がいる場所とは反対側で止まった。
さっきの女の子と変わらない、いやもしかしたらまだ幼い。
印象的だったのは余すことなく全身に巻かれたまだ真新しい血を滲ませる包帯。
頭から右目にかけても包帯で巻かれている。
ラビ( … っ… )
見えた横顔。
大聖堂を見つめる瞳からは静かに涙が流れていた―
さっきの子みたいに顔を歪めるわけでもなく、声をあげるでもなくただ涙を流す彼女に
心が揺れた。
傍観者だったはずなのに、
あの棺の数を見ても、
ケガ人らを見ても、
―揺れなかったのに…
「 …… たの… ?」
ラビ( ? … な、に?)
ただ涙を流す彼女の口が僅かにうごいて、その小さなつぶやきを拾おうとしたオレの耳に届いた声、
「 … 神は、どうして私を選んだの… ?」
ラビ「 …… っ…! 」
それは本当に消え入るくらい小さな呟きだったのに、
その時のオレには
まるで心が引き裂かれるような叫びに聞こえた―
end
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