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□4殺 零崎双識ヲ尾行セヨ
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「囮って…」


「零崎一賊の長兄ともあろう男がどうして一般人の中学生とメル友になって喜んでいるのか僕は不思議に思っていたが――

恐らくレンはこういうこともあろうかと思っていたのだろう。そうでなければ、零崎一賊全体がシリアスでヘヴィな戦争を繰り広げている中、レンが女子中学生と暢気なデートをする理由など考えられない。

わざと足手まといの一般人を近くに置くことによって、敵が自分を狙いやすいようにしたのだろう―一賊のために自らを危険に晒すことを躊躇しない。僕の知る零崎双識というのは、そういう男だ」


「そうですね。双兄はそういうところがぁりますから――でも…」


でも、何だか今回の双兄の感じからして暢気にデートしているように思うな〜と慈織は考えていたが、


曲識がそう思っているならそれでもいいかな?と思いあえて口には出さないようにした。


だか―


そんな慈織の気持ちには気づかず、人識は簡単に曲識の言葉を否定した。


「……いや、俺の知る零崎双識というのは、そういうシリアスでヘヴィな戦争を繰り広げている中でも、

女子中学生とデートができるとなれば全てを投げ出しちゃう男なんだけどな…」


「馬鹿な。あれでも一賊の長兄だぞ。そんな適当な人物像で務まるわけがないだろう」


「だから微妙に務まってないんじゃねえか……」


人識があまりに的を射たことを言ったので、慈織は思わず「ぁー。なるほど!!」と言いそうになってしまった。


実際はそんなことは言わなかったが、曲識の見えないところで軽く頷いていた。



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