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□2殺 家賊
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双兄に連れられてやってきた家…
ここに私の初めてできた家賊がいるらしい。
「…」
「そんなに緊張しなくていいよ慈織ちゃん、みんないい奴だからさ」
少し呆れ気味に言う双兄。
そんな呆れられる程緊張しているつもりはなかった…と言えば嘘になるが、
私には今まで家族というものがいなかった。
気づいたときには施設にいたし、
施設の人を家族と思ったこともなかった…―
どうせ私の世話をしてくれるのも、仕事だからだと思っていたから。
どんなに優しくされようと、そんな施設の人を家族だとは思えなかった。
どこかで欲していた"仕事"などではなく、本当の家族として私に優しくしてくれる人を
こんな異常な私のことを見捨てない人を―
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