novel

□夜の邂逅
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こんな所で何をしている?振り向いた少年の双眸にうっすらと涙が滲んでいることに、スネイプは奇妙な腹立たしさを覚えた。唇を噛み締め俯き、黙ったままの少年に眉を潜め、スネイプは焦れたのか僅かに声を高くする。こんな所で深夜に何をしていると尋ねたのだ。消灯時刻はとうに過ぎているはずですぞ、ミスターポッター。
涙を拭いながら立ち上がるとスネイプの横を素早く
通りすぎようとしたハリーの背に再びスネイプの声が掛かる。まて、強い力で腕を掴まれ反抗的な瞳で睨み返すハリーに一つ鼻を鳴らしてスネイプは少年の腕を掴んだまま、着いてこい、とだけ低く呟いた。暗い地下廊に前を行く乾いた靴音だけが響く。憮然とした表情のまま、入れと促された部屋に、困惑気味にハリーは足を踏み入れた。
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