半熟×検索


□風都王国物語(連載中)
4ページ/6ページ


★エピック2・ワカナ姫



2番人気は王国のアイドル、次女の【ワカナ姫】です。

他国の王子様よりも、王国の住民達に絶大な人気があります。

ワカナ姫が出演するお芝居や劇の会場はいつもお客さんでいっぱいです。

とっても優しく、明るく楽しいワカナ姫…



「みんなーありがとうっ!明日もまた見にきてね☆」



……でもそれは表側の顔。




「お疲れ様でしたお嬢様〜。いやぁ今日も満いn…」

「紅茶。」


「……ぇ?」

「"え"、じゃないわよ!芝居が終わったら紅茶出してっていつも言ってるでしょ!?使えないわねーー!!」

「もっ、申し訳ございません!只今お持ち致します!!」


「――チッ。」


彼女には裏の顔があるのでした。





「ただいま戻りましたわ、お父様。」

「おぉワカナ、お帰り。昼食の用意が出来そうだ。座りなさい。」

「えぇ。」

そんな表と裏の顔を持つワカナ姫は、家族の前ではまた別の彼女が現れます。

偽物の笑顔も、疲れて人に当たる事も、必要ないのですから。


「あらワカナ、帰っていたの?」


でも実際、そういう訳にもいっていませんでした。


「また庶民に愛想笑い振り撒いてきたそうじゃない。人気者は大変ね?」

「いいえお姉様、私が望んでやっている事ですもの。苦になんてなりませんことよ?
それよりお姉様?ずいぶん遅い登場ですけれど、何かあって?」

「……。別に何もないわよ。」

「いやだわお姉様。そんな如何にも疑わしい言い方。わかってますわ、キリヒコ義兄様が行方不明なんですもの、大層寂しい思いをしていらっしゃるのでしょう?あぁそう言えば、今日はイサカ先生がいらっしゃる日ではなかったかしら……?」

「黙りなさいワカナ。それ以上言ってみなさい、ただじゃおかないわよ。」

「まぁ怖い。」



どうしたって、姉のサエコ姫とは上手くいきません。



―…本当は仲良くしたいのに……。


歳も近くて何でも出来るサエコ姫にライバル意識を持って反発してしまった時から、今日までずっと素直になれないでいます。







「はぁ……、」

「どうかしたんですか?ねぇさん」


王様にも、姉にも本当の自分を出すことの出来ないワカナ姫。

ですがワカナ姫にも、唯一素直に相談をすることが出来る人がいました。



エピック2・ワカナ姫 end
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ