半熟×検索
□風都王国物語(連載中)
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★エピック3・ライト姫
3番人気はフウト王国一番の謎、三女の【ライト姫】です。
フウト王国の住人でさえ、姫の姿を見たものはほとんどいません。
ですが、見たものは皆口をそろえて「それはそれは美しい姫であった」と言うのです。
人を魅了するライト姫はその噂によって密かな人気者なのです。
ライト姫は家族の中でも特殊な存在でした。
「どうかしたんですか?ねぇさん」
「ライト……。」
「ボクでよかったら…、ねぇさんの話…聞きますよ。聞くことしか…出来ないけれど……」
「…いいえ、ライト。聞くことというのは、とても大切な事なの。私はいつもあなたに助けてもらっているわ…。ありがとう、ライト。」
然り気無く近づき、相手の心を癒す。
そんな力があるのです。
そして、一番特殊なのが……
「さぁ…。検索を…始めよう……。」
ライト姫が目を瞑り、両手を広げれば…姫の周りに不思議な光が現れ、風も無いのに空気が動きます。
ライト姫がおおやけの場所に出てくる事が出来ないのは、この能力のためでした。
ライト姫は自分の思うままに望む事全てを知ることができます。
「キーワードは…"仲直り"…」
例えば、姉妹の仲直りの仕方。
例えば、行方不明のキリヒコ王子の行方。
例えば……
隣国の機密文書…軍の組織形態、武器や兵器…内部事情。
もしもこの能力が皆に知られてしまったら、ライト姫を手に入れようと、争いが起こってしまう事は間違いありません。
戦争を恐れた王様はまだ幼かったライト姫をお城から一歩でも出ることを禁止してしまいました。
王様にとっても苦しい決断でしたが、それは国を守るためには仕方の無いことです。
ライト姫もそれが分かっていたのでしょう。
外出禁止令が出された時、ライト姫は抗議の一言も言わずに笑顔でそれを承諾したのです。
そんな笑顔の下で、姫は泣いていました。
表には出さず、心の中で泣いていました。
ライト姫だけが広いお城の中を自由に動く事を許されていたのは、我が子を哀しませてしまう王様の気持ちからでした。
ですが姫は、ほとんど自室に留まっていました。
どんなに広くたって外に出られないのは変わらないのですから……
部屋で1人で過ごしている間、姫の内にある気持ちは成長と共に少しずつ大きくなっていきました。
「…外に…出たいな……」
誰にも届く事のない叫びを呟くようになってから、どれだけの時間がたったでしょうか。
いつしか姫は窓からフウトの街並みを眺めるようになっていました。
大きな声では絶対に言えない、誰にも聞かれてはならない「逃げ出したい」を、街に向かって発信するように、毎日毎日自然と足は窓に向かってしまいます。
街のざわめきさえ届かないお城の一室です。
こんなに小さな声は絶対に誰にも聞かれるはずはありません。
聞かれるはずが無い…はずでした。
「出たいんなら、出ればいいじゃねぇか。」
まさか…誰かの耳に届くなんて。
この手を引いて連れ出してくれる人が現れるなんて…思ってもいないことでした。
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