半熟×検索
□初めてのオツカイ(連載中)
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ガチャ…ッ
翔太郎はフィリップを引き連れて事務所のドアを開ける。
「…っ!」
すると当然の如く、外から冷たい空気が入って来る。
「…、翔太郎?」
「寒ッ!!」
バタンッ!!!!
開けられた扉は翔太郎の悲痛な叫びと共に勢い良く閉められた。
「行か…ないの、かい?」
寒さに気力を奪われたかとフィリップは思った。
だが、そうでは無いらしく…
「わりぃ、フィリップ!少し待っててくれっか!?」
そう言って部屋の向こうへ駆けて行った。
「お待たせ」
暫くすると暖かそうな上着を着た翔太郎が戻って来た。
「それなら大丈夫そうだね。」
「おぅっ!」
翔太郎はバサッと上着を広げてみせる。
ニッと笑う彼に、黒のそれは良く似合っていた。
「………、」
「……?どうした、フィリップ?」
「ぁ…っ///」
つい見とれてしまった自分が恥ずかしくなり、フィリップは頬を染める。
「べ…別に…、何でも、無い///」
「ふぅん?」
その反応に、翔太郎は目を細めて微笑んだ。
「本当…、お前は可愛いよな、…フィリップ?」
「なっ、何を言って…ッ///」
「…可愛い。」
「…ッ///」
さらに赤くなった顔を隠すように俯くフィリップ。
そんな愛らしい彼に翔太郎は旁に持っていたもう1つの上着を掛けてやる。
「ほらよ。」
「ぇ…、これ…?」
いつもと違う重みに、掛けられた上着に目をやる。
「…翔太郎の……」
「あぁ。」
そこには翔太郎が使用しているコートがあった。
「お前が外出る時に着てるあれ、薄手だし…首とか寒そうだったから…さ。」
言いながら、袖に腕を通すように促す。
「翔太郎…」
「ぁ…、わりぃ、やっぱ自分のが良かったか?」
翔太郎は着せる動作を止める。
だが、フィリップは自ら袖を通し、その腕を口元へと宛がった。
―…翔太郎の…匂いが、する…
「いや…。ありがとう、翔太郎///」
「……、どういたしまして?」
翔太郎は前のボタンを締めてやった。
「よしっ。これて良いだろっ」
「うん…暖かいよ翔太郎。まるで君に…抱き締められているみたいだ…///」
「お前ッ、それ…止めろ…///」
「?」
恐らく素であろうフィリップの言葉にクラクラしつつ、翔太郎は彼の手を取った。
「あったけぇなら、ほらっ行くぞ?」
「あぁっ!」
今にもスキップでもしそうな彼らの頭の中は、
―"デート"
という簡単な単語でいっぱいだった。
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