半熟×検索


□初めてのオツカイ(連載中)
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「フィリップぅー…」

どうにもダラついてしまう、休み明けの今日この頃。

事務所の中の時間は、普段よりも遅く流れている様に感じる。


つまり、暇。

暇を潰そうと外出しようか、とも思うが、寒さにその気も失せる。


―天気は良いんだがなぁ……。

翔太郎は陽当たりの良いいつものデスクに突っ伏し、背中に光を浴びる。

部屋の中に差し込む日光というものは温かいものだ。


グッと手を前に伸ばして体を柔軟していると、呼ばれたフィリップがやって来た。

「暇そうだね、翔太郎…?」

「おー…来た来た。」

翔太郎は起き上がって机に頬杖をつきながらフィリップを見上げる。


「そー…。見ての通り、スゲェ暇なんだよ俺…。だからさぁ、フィリップ…」

「なんだい?」


「俺の暇を潰せる様な…、何かのオツカイ、頼まれてくんね?」


「オツカイ?」

「そ、オツカイ。」


と、そこで翔太郎は本棚に体を向ける。

「もう全部買った本も読み終えちまったしなぁ…。」

「自分で行けば良いじゃないか?選ぶのも自分の好みの物の方が…」


「いや、俺はパスだ…。」

「何故だい?」


翔太郎はフィリップに向き直り、また頬杖をつく。



「…寒い。」



「……。…残念だが、オツカイは遠慮して置こう。」


フィリップはクルリと踵を返した。

そして、下らない。とでも言うような溜め息を1つ。



「だぁー!ちょ、待てフィリップ!!!!お前に取ってもメリットがあるんだぞっ!」


言われて足を止めるフィリップ。

首だけを翔太郎へ向けた。

「メリット…?」

「おぅよ。」


翔太郎はゴソゴソと机をあさり、そこからお金を取り出しす。


「……?これがメリットかい?」

置かれたお金に、フィリップは翔太郎の元へ戻る。

―小遣いでもくれると言うのだろうか?


「まぁ、一応メリットだな。多分これだと、本一冊買ったら多少余ると思うんだ。」


「…その余りを、僕に自由に使え…とそう言う事なんだね?」

「流石フィリップ、察しが良いなっ。」

翔太郎はニッと笑う。


「お前、買い物とかした事無いだろ?良い機会になるんじゃないか?」

「……。確かに外の世界は非常に興味深いが……」


「もし危ない目に遭っても、お前にはファングがいるし。」

「…うーん。」


翔太郎の押しに、フィリップは次第に迷い初めた。


―もう1押しか…?


「余った金で、たこ焼きとか買ってみたらどうだ?検索しただけじゃ、味までは分からないだろ?」

「…う"ー…」


「ま。無理に金使えとは言わねぇけどな。街ん中散策したり、公園でのんびりってのも良いんじゃねぇか?」

「……公…園…?」


その単語が、フィリップの耳に留まった。


―"公園"

 前に、…検索した事がある…




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