Long

□ありがとう
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戸惑いがちに、眉をひそめる主婦は、答えた。

「ええ、そうですが…」

「飯屋はどこですか!」

シューは、ティーの背後で派手にずっこけた。なぜ飯屋…?

「飯屋?あぁ、それなら」

主婦は指で何度か右左を示しながら、ティーに飯屋の場所を説明した。理解したらしいティーは、満面の笑みで頷き礼を言った。

「ありがとう!」

どういたしましてと返事をした主婦は、蜂蜜少女の後ろに、肩で息をついている学者を見つけた。
そして、少しの間の後。

「久しぶり、学者さん。缶詰めはもう終わったの?」

知り合いのようだった。シューも顔を上げると、苦笑いをして言う。

「なんだ、マシュさんか。お久しぶりです」

「だいぶ経ってるよねえ。お嬢さんは、学者さんの彼女かい?」

ニヤニヤと言うマシュに、シューは何か真面目な顔で答えた。

「俺に彼女歴はありません。偶然知り合った仲で、彼女、ティーというんですが、ティーは…」

そこで、ちらりとティーを見た。何か不思議そうな顔をした彼女と、アイコンタクトをとれているとは思えない。
シューは眉根を寄せた。
だが、奇跡的に何かがティーの中で合致したのか、次に口を開いたのはティーだった。

「あたしー、さっきの鳥なんです。鳥に化けた人間が、あたしです」

「……………!」

考えたすえ、合点がいったことがよく分かる表情だった。鳥人間と遭遇すれば、それは当然、大抵の人間は落ち着きを失う。
鳥に化けた姿は悪魔の証。しかも、その力は海賊の長を上回るほどのもの。

結局、どちらが強いかで、人の関係は決まるのだ。
例外はない。

ティー本人は、今考えなしにその言葉を言ったが、怖くないわけではなかった。
そしてシューは、ティー以上に緊張していた。このマシュの反応が、これからの彼女に対する街の有り様の、鍵になると。





……………。



「うぁぐっ!」


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