COWBOY BEBOP夢(完結)

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ヴィンセントは何も言わなかった。
おかえり、と言うと、あぁ、とだけ返して。
ソリタリアをやる気分ではないのか、ポケットから手を出してソファに腰掛けた。
私はソリタリアの置いてあるテーブルセットの椅子に座っていた。
距離を少しだけ感じたけど、ヴィンセントが近づいてくるまで待とうと思った。
今日位は、待とうと思った。


「…煉獄を、知ってるか?」

「れん、ごく?…地獄じゃなくて?」

「天国と地獄の間にある場所…天国に入れず、取り残された人間が苦しみ続ける場所だ。
 …この世界のことさ」

「…苦しみ、続ける」

「…そうだ」

「……私は、苦しいけど、ヴィンセントがいるから、平気、だよ…?」

「この狂った世界を、終わらせる」

「…ん」


ヴィンセントは夜も出掛けると言った。
ソファに腰掛けてコートのポケットからもう見慣れてしまった拳銃を出した。
弾倉(?)を確認して、ハリウッド映画のようにもう一度セットした。
ヴィンセントが怖くて、でもすごく好きで。

ヴィンセントがこちらを見て、私と目を合わせた。
ヴィンセントから目を合わせてくれることは珍しくて、私は何も言わず見つめ返した。


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