アイシールド21夢

□雪
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<葉柱さん、こんばんは。寒くないですか?>

「あぁ。お前の方が耳だの頬だのが真っ赤で寒そうだぞ」

<寒いの苦手なので…>

「カッ!ならなんでこんな時間にこんなとこに居やがる。風邪引いても知らねぇぞ」

<なんでか足が落ち着かなくて…。たまたまバスが停まってたので飛び乗っちゃいました>

「…お前、」


いかにも呆れたといった声が、葉柱の口から漏れた。
棗の考えなしにもとれる行動に呆れ、彼は眉をひそめたがそのおかげで少し睨み付けているようにも見える。
本当は優しい人なのに、と棗が葉柱の強面に苦笑していると、歩道橋の方から声が聞こえた。
よくよく聞いてみれば、棗がボランティアの雪かきと間違えた彼らは明日対戦する帝黒学園のアメフト部員だという。
斥候部隊という意味は棗も葉柱もわからなかったが、ようはチームのために雪像を作っているらしい。
葉柱がにらみながらなにかを呟いたが、棗は雪と作り始められた雪像に見とれていてそれを聞き逃した。
だが斥候部隊と雪像を見つめる葉柱の瞳はなぜか悲しそうに見えて、棗は気づかれないように瞳を伏せた。
すると葉柱はずいぶんと乱暴な電話をかけると、棗に向き直った。


「あー…沫咲、だろ。お前、帰るなら途中までなら送るぜ」

「(ふるふる)」

「…帰んねぇのか」

「(こくり)」


棗は深くうなずいて、ボードを書き始めた。
俯いた拍子に流れた髪に、うっすら雪が積もっている。


<葉柱さんたちと一緒に雪像作りたいです>

「…ツラ当てだ、ただの」


スコップを持ってこい。葉柱は乱暴な口調だったが確かにそういったのだ。
葉柱が実は優しいことも、アメフトを大好きなことも棗は知っている。
だから葉柱がスコップを使って何をするかなど、棗にもわかることだった。
葉柱は視線を反らし苦しい言い訳をするが、棗には通じない。
棗がくすりと笑うと、葉柱はカッといいながら、後ろに控えていた男からサンタ帽を取り上げた。
そしてそれを棗に投げてよこす。


「雪、払ってからかぶれよ」


その言葉に、棗は満面の笑みで応えた。


***
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