アイシールド21夢

□チョコレート戦争
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今年のバレンタインは日曜日だと言うこともあって、朝からバレンタインデートという文字がニュースに躍っていた。
アメリカにいる父にはもうプレゼントを贈っているし、両親からもチョコとプレゼントをもらった。
ムサシの親や武蔵工務店にもプレーンとココアのクッキーを差し入れ、あと残っているチョコはヒル魔が言っていたひとつのみ。
チャイムが鳴ってムサシが棗を迎えに来た。
バレンタインくらい休めばいいのだが、ワールドカップが目前に控えている今、休んでいるヒマなど無いらしい。
今日もアメフト漬けなのだろうと苦笑して、ふたりは家を出て泥門高校に向かった。

グラウンドに到着するとオールスターチームのメンバーだけでなく、多くのアメフト関係者が集まっていた。
それに驚いた棗は数秒動きを止めたが、自分とムサシが一番遅かったことを知って顔を青くした。
集合時間を確かめるが、時計は遅れるどころかむしろ1時間近く早い数字を示している。
ともかくリーダーであるヒル魔に謝るために棗が彼に駆け寄ると、ヒル魔は朝の挨拶もなしに棗をベンチに座らせ、チョコの入った紙袋を取り上げた。


「…よし、ひとつだけだな」


棗は大きな目をぱちくりとさせながらヒル魔の言葉にうなずく。
ほとんどのメンバーがヒル魔の言葉や行動に首をかしげる中、ひとりだけヒル魔の計画に勘づいた人間が居た。


「…ヒル魔、なにを企んでるんだ」

「ケケケケ。今日はバレンタインデーだ。企むもなにもねぇよ」


セナやモン太はヒル魔の口からバレンタインデーという単語が出てきたことに驚きの声を上げた。
だがあとに続く言葉にまた驚かされた。


「こいつが作ってきたチョコはひとつ。こいつの手作りチョコが欲しけりゃ、勝ち抜け」


そういって笑うヒル魔の後ろには悪魔の影と、悪魔のしっぽが見えたという。

***
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