映画/flat夢

□家族と仲間たち
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バンブルビーのいる部屋に走り込むと、ナツメは一直線に彼の元へと向かった。
悲しげで苦しそうな声を上げるバンブルビーの姿にナツメの涙腺が緩みそうになる。


「ビー!」


冷却剤を吹き掛けている男にナツメは声を張り上げて、噴射をやめさせる。
ナツメの悲痛な声はすぐには届かなかったが、デイビッドや他のエージェントの声もあって男たちは作業をやめた。


「ビー、バンブルビー!」


ナツメの声が聞こえていないのか、またもバンブルビーの悲鳴のような声が上がる。
その声にレノックスたち軍人は警戒したように、一瞬拳銃を構える仕草を見せた。


「ビー、ビー大丈夫?ごめん、ごめんねビー。もう大丈夫だから。
 もう彼らには何もさせない。もう安全よ、大丈夫だから。だいじょうぶだからね」


寝かされていたバンブルビーに触れながら、ナツメは何度も何度も話しかけた。
危険だ、と周囲からいくら言われてもナツメは離れようとしなかった。もちろんそのとなりにはデイビッドの姿もある。
ナツメの呼びかけにバンブルビーは顔を護るように変形させ、あたりをキョロキョロと伺う。
だが未だに状況が飲み込めないのか右腕のキャノン砲を周囲に向け、警戒心をむき出しにする。
それを向けられた途端、レノックスがナツメとデイビッドを伺うように視線を向けたのを、デイビッドが気付いた。
さすがは軍人でリーダーだな、とデイビッドは感心して、手で大丈夫だと表現してみせた。


「ビー、ビー聞いて。もう大丈夫だから。ね、お願い、私を信じて」


ナツメの呼びかけにバンブルビーは戸惑う。先ほどまで自分に無体を働いていた者たちが自分たちを取り囲んでいるのだ。
しかもナツメとデイビッドは彼らに攫われ、助けだそうとして逆に捕らえられてバンブルビーは今ここにいるのだ。
出会った当初から敵だった側の人間を信用できるわけなど無い。
ナツメのこともデイビッドのことも、そして自分のことも護る為にバンブルビーは頭脳を必死に巡らせる。
起き上がって台に座り誰彼構わずキャノン砲を向ける。自分たちを傷つける者は絶対に許さないとでも言うように。
だが武器を構える自分を恐がることなく、ずっと足に触れ続けるナツメの一途さにバンブルビーは彼女の方に顔を向けた。
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