映画/flat夢
□宝を奪う風
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やさしく包むような風が舞う、砂漠。
彼女と私は、そこにいた。
「…アーデス」
「なんだ、ナツメ」
彼女が私の傍にいることは当たり前だった。
何度愛を交わしたことだろう。
何度愛を誓ったことだろう。
触れた髪から、繋いだ手から、口づけた唇から、想いは伝わっていた。
「…アーデス、愛しているわ」
「ああ。…私もだ、ナツメ」
隣に微笑む人がいる。
隣で時を刻める人がいる。
その幸せ。
「けれど、アーデス」
「…?」
「私は、…アーデスのものだけれど、あなたとは一緒にいられない」
その悲しい微笑みと、触れた指の温度が、私を凍らせる。