映画/flat夢
□悪夢
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「待ってくれ!ナツメ…!」
「……え?」
ナツメの後ろ姿をなすすべ無く見送った私は、ようやく動くようになったからだ全身で彼女の名を叫んだ。
すると、隣から小さな声が上がった。
その声は、確かに。
「…ナツメ?」
「…なに?アーデス」
私の声に、私の呼ぶ名前に、微笑むのは紛れもなく愛するナツメ。
辺りを見回してみると、私は寝所に横になっていたらしく、ナツメはその横で私の寝顔を見ていたのだろう。
微笑むナツメが私のものだと確かめるために、力強く引き寄せ抱きしめた。
腕の中に鼓動と熱を感じ、息をつく。
「…どうしたの?アーデス」
「あぁ…、あぁ、ナツメ…ッ!」
汗にまみれ、恐怖にまみれ、およそ長に見えないだろう私を笑わずに抱きとめるナツメ。
心臓の速さを感じたのか、なだめあやすように背中を叩く。
優しい息を肌に感じる。
あぁ、愛する人よ。