映画/flat夢

□その部屋はある者にとっては地獄。ある者にとっては
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ドアがノックされ、棗は宿題をする手を止めた。
どうぞ、と声を掛けると数秒後に覗いた顔は彼女の双子の弟のそれだった。


「姉さん、あとで鈴木と佐藤が来るから」

「…遊ぶんですか?」

「や、…勉強会」


平介が気まずそうに視線をずらしたことで、棗は悟った。
数日前、職員室で学年主任が留年、などという物騒な発言をしていた。
そして平介の出席日数や早退のことを考慮に入れれば、その言葉に一番近しいのは弟である平介だろう。


「もう一回、二年生してもう良いんじゃないですか?平介なら」

「ヒドッ」


存外ショックを受けたような顔をした平介だったが、チャイムの音でゆっくりと復活した。
小さな音を立ててドアが閉められたのを聞いて、棗は机に視線を戻した。


***
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