映画/flat夢

□その部屋はある者にとっては地獄。ある者にとっては
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平介の訪問から1時間近く経とうとした時、またノックが響いた。
顔を覗かせたのはまたまた平介。


「あのさ、教科書持ってる」

「持ってますが…。自分のが、」

「学校」

「…やる気ゼロですね」

「……それ、鈴木にも言われた」


棗は大きくため息を吐いて、教科書を取り出した。
そして歩き出すと平介の横を通り過ぎてしまった。


「え」

「早く来てください」


クールにそう告げると、棗は平介の部屋に入ってしまった。
中からは鈴木と佐藤が棗を歓迎している声が聞こえてくる。
頭が良く平介の扱いをよく分かっている棗が味方になったのが嬉しいのか。
それともただ単に棗と会えたことが嬉しいのか。


「…姉さん、クールで鈍感だしな」


平介の小さな声は、その後のため息にかき消された。




その部屋はある者にとっては地獄。ある者にとっては




>「おまえなんか落ちぶれてしまえ」なんて、良いこと言いますね。さすが鈴木くん…。
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