映画/flat夢
□ラブレター騒動
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「…姉さん、そんなに意外ですか…」
「あ、…いえ。ちょっと驚いて」
「でも姉さんだってこの間もらって、」
「「「えぇぇっ!!!」」」
平介の何気ない一言で、クラスメイトたちは悲鳴を上げた。
その悲鳴には男子だけでなく女子の声も混ざっていた。
実は棗は一部の生徒にいわゆる"高嶺の花"や"お姉様"として遠巻きにされつつ、尊敬されているのだ。
(その一部には"平介の姉ができる"というだけで尊敬している生徒も居ると言うが)
クールで頭が良く、欠点である表情があまり変わらないところも素敵だと、憧れの眼差しを向けられている。
彼女自身はそれを知らないが、水面下では浸透している。
そのため、告白はNGという暗黙のルールが破られたことに彼らは悲鳴を上げたのだ。
「棗、ラブレターもらったのか?」
「え、本当に?どんな人?」
鈴木と佐藤は平介の言葉を信じ、棗に詰め寄りつつ問うてくる。
棗は少々困惑の表情を浮かべ、余計なことを言った弟を睨む。
キーンコーンカーンコーン
どうやって逃げようかと思考を巡らせていたその時、天が彼女に味方した。
教室に無機質な鐘の音が響いて、棗は素速く動いた。
「次の授業があるので」
そう言ってそそくさと教室を後にする棗の後ろ姿を、誰もが視線で追いかけていた。
ラブレター騒動
>なんか、さっきから視線が痛いんですが…。