映画/flat夢

□静かな日常が壊れる音
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***

いつも通りの、静かな夜。
美味しい魚とよく冷えたワインに舌鼓を打って、ふたりは食事を終えた。
その後部屋に戻って片付けをしていたナツメは、ソファでフランクがうたた寝をしているのを見ると、クスリと小さく笑って毛布を取りに行った。
だが毛布を手にした瞬間、爆音と地響きがとどろいた。
へたり込みそうになる足を必死に奮い立たせ、リビングへ向かうとそこにはあり得ない光景が広がっていた。


「…ッフランク!」

「ナツメ…大丈夫か?怪我は?」

「いいえ…フランクは?ソファで寝てたんじゃ…」

「リモコンを取りに。そのままソファにいたら危なかったな」


驚きとショックに固まっているナツメを一度抱きしめると、フランクは突っ込んできた車に近寄った。
血みどろ姿の運転手をナツメに見せることを避けようと、フランクは彼女に救急車の誘導を頼んだ。
ナツメはフランクの言外の意味を受け取り、外へ出て行く。
真っ暗な闇からやっと白い車が見えると、ナツメは大きく手を振って彼らを誘導した。
救急車が去るとナツメはほっと息をついてフランクに抱きついた。


「大丈夫かしら」

「意識はあったし、話せていた。…それにマルコムはタフだ」

「知り合いなの?」

「同業者だ」
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