映画/flat夢

□互いを思う
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強奪されかけたフランクの居場所は、彼の華麗な自転車テクニックにより護られた。
三人がようやく落ち着いてきた頃、ナツメが口を開いた。


「ねえフランク。タルコニ刑事に電話してみたら?」

「…そうだな。きっと困らせるなと言うだろうが」

「そうね」


フランクとナツメが苦笑するのをヴァレンティーナは羨ましそうに見る。
だがナツメがそれに気がつくと、ヴァレンティーナはすぐに視線をそらしてしまった。
同じく一心同体であるヴァレンティーナとも協力したいと思っているのはナツメだけなのだろうか。
けれど先ほどの視線や努力をして虚勢を張っているような姿が垣間見えているため、ナツメは彼女がなにか知っていることを予感していた。

少し移動した後、車を適当なところへと止めた。
そして離れすぎないことを確認しつつ、公衆電話を探し出しタルコニへとつながる番号を押した。
ナツメはヴァレンティーナのそばでフランクが電話を終えるのを待つ。
時たまフランクは二人に視線を投げ、そしてまた電話を続ける。


「おそらくロシア人だ。…それとナツメがいる」

「ナツメ?ああ、君の恋人か」

「巻き込まれたんだ。彼女は関係ないのにっ」

「落ち着けフランク。彼女は?」

「俺を信じてる、と」

「ああ、いい子じゃないか。彼女が信じているんだ、君も彼女を信じて、そして護ってあげないとな」

「…わかってる」


フランクは強く、深くうなずく。
そして電話を切ると二人に車に戻るよう言い、自分はパソコンのある店に行くと告げた。
ジョンソンから渡された携帯を持っていることを確かめたフランクは二人が車に戻ったのを見届けてから店に消えた。


***
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