映画/flat夢

□互いを思う
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次の行き先がブカレストに決まると、ヴァレンティーナが食事の話をし始める。
たくさんの店や料理を知っているということは、外食の機会が多いのかとナツメは予測した。
もしかしたらお金持ちのお嬢さんなのかも、と思いながら話を聞く。
ナツメは昔から食事は家で食べるタイプであり、フランクと知り合ってからも同じであった。
好きな人のために食事を作ることが何よりも楽しくて、時たまフランクが一緒にキッチンに立ってくれることも嬉しかった。
その幸せをしっているからこそ、絶対にその日常に戻ってみせると強く強く思った。
と、ヴァレンティーナがイビザのお土産だという毒々しいピンクのクスリを見せびらかした。
止める間もなく一粒目はヴァレンティーナが食べてしまう。
そして二粒目を食べようとした途端、フランクが必死にその手を止めた。
ナツメもフランクに加勢するが、大声を上げて暴れるヴァレンティーナは手が付けられない。


「ッ、フランク!」


ナツメが鋭く叫ぶと、目の前にいた対向車をフランクは間一髪で避けた。
その隙にヴァレンティーナはクスリを口に運んでしまった。
クスリでハイになったヴァレンティーナは楽しそうに笑い、いつもならば絶対にかからない音楽をかけ始めた。
フランクはもう諦めたようで、ため息混じりにヴァレンティーナの行動を受け入れた。









>死に近い位置にいるのに、なんでわざわざクスリでもっと近くに寄ろうとするのかしら?
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