映画/flat夢

□盲目的に
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行き先がオデッサに変更になり、ヴァレンティーナは喜んでいた。
ナツメも来たことのない土地であるため、ヴァレンティーナに名産や美味しい食事を聞く。
たくさんあがってくる美味しそうな料理の名前やお菓子の名前に二人とも笑顔になっていく。
だが橋にさしかかったところで、橋の両側を挟み撃ちにされてしまった。
拳銃やマシンガンを構えた男たちが待ち構え、ヴァレンティーナを解放しろと迫る。


「ヴァレンティーナ…」

「行きたくない。だって行ったら二人とも殺される」

「心配するな。行くんだヴァレンティーナ」

「ディナーはとっておきの美味しいお店を予約しておいてね」


ヴァレンティーナはつらそうに、涙をたたえながら二人に感謝のキスを送る。
そしてドアを開け、ジョンソンたちへと足を向けた。


「ナツメ」

「大丈夫。フランクを信じてるわ」

「…ああ。絶対に助ける。だから絶対に諦めるな。ひとりで旅行に行きたくはない」

「ええ。約束だもの。ふたりで行きましょう」


ナツメの瞳は全く諦めや不安の色を映していなかった。
映っているのはやはりフランクだけで、どこまでも自分を信じてくれるナツメにフランクはキスをした。
それが最後の口づけにならないように、フランクは目一杯アクセルを踏んだ。


***
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