どマイナー夢
□母から聞かされた物語
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母から聞かされた物語
それから私たちは微妙な空気の中にいた。
重苦しい、息の詰まるような空気の中に。
理由は簡単。
私と、シドさんがお通夜のように空気を重くしていたから。
「…兄さん」
「なんで、…リディは知らないんだろうな」
「え?」
「この神さまの話」
「…さあ」
「俺は母さんに毎日のように聞かされてた。
この話をするときだけは、母さんは俺の目を真っ直ぐ見て、
俺以外見ないように…俺以外がこの世にいないかのように…。
呪文のように繰り返し、繰り返し…」
シドさんのトーンがどんどん落ちていって、最後は悲しそうに俯いてしまった。
内容から察するに、お母様とは何か過去があるようで…。
その悲しそうな雰囲気に、割り込むことなんて出来なかった。
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