どマイナー夢

□母から聞かされた物語
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「ナツメ、だっけ?」

「あ、は…ぃ」

「何でナツメはこの神さまを?君が信仰してる?」


あまりにも真剣な声。
瞳は記憶の奥底まで射抜くような、鋭さ。


「い、いえ…。死んだ母が、…私はこの神さまの子どもなのだ、…と」

「………え?」

「どう、いう…?」


母は、ずいぶん前から狂っていたのかもしれない。
愛おしそうに神さまの絵を撫で、声を掛け、キスをした。
今でもそっくりそのまま残っている母の部屋は、もっと酷い。
神さまの瞳の色に合わせたスカイブルーと神の証であるレッド。
その2色しか、母は部屋に置かなかった。
スカイブルーの万年筆や、レッドのカーテン。
ペン1つにいたるまで、すべて神さまと同じ配色。

毎日、あの優しく美しい声に紡がれる物語。
神さまと天使の、禁断の愛。
神さまは愛して愛して愛し抜いて、天使に魔力を与え身籠もらせた。
神さまは元々無性で性別は無いものだから、身籠もらせるなんて出来るはず無いのに
母はその奇跡を"神さまの愛が、天使に伝わったのよ"と語っていた。


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