アイシールド21夢

□小さな熱
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ずいぶんとベタな知り合い方をしたものだ、と高見はひとり苦笑した。


予約した参考書が入荷したと連絡があった翌日、彼は早速本屋に出掛けた。
頼んだ本はページ数的にも内容的にも厚いものなので、先に他の本を見てから取りに行こうと決め、冷やかし程度だが店内を歩き回る。
彼の本棚から頭一つ分、いや二つ分飛び出す身長に振り返る人や視線を浴びせる人たちは多い。
その視線に萎縮することはないが強さに辟易してレジに向かおうと思えば、視界の端に泥門のマネージャーの姿を捉えた。
春大会にはいなかったメンバーの内のひとりで、マネージャーとしての有能さに加え、その可愛らしい容姿と笑顔、動きにファンが急増中らしい。
チームメイトである桜庭が、いつかミラクルさんが彼女のグッズを売り出しそうで怖いですよ、と笑っていたのを高見は思い出した。
グッズが出たら王城内でもかなりの人数が買い求めるだろうと苦笑する。
敵だというのに彼女の話が挙がることは多々あるのだ。

棗は壁一面が本棚になったコーナーに立っていた。
隣の棚の下段を、首を左右に動かしながら見て、ふと上に視線をあげた。
そこに探していた本があったようで、本一冊見つけただけなのに目を輝かせた。
だが本は一番上にあるようで、一応背伸びをして見せたが当たり前に届かない。
上から二番目の棚にも手が届かない辺りが彼女の小ささを強調している。
棗がキョロキョロと踏み台を探す様子が、まるで小動物のように可愛らしく、高見は小さく吹き出してしまった。
その声に棗は振り向いて、そこにいるのが高見だとわかると頬を染めた。
知り合いに見られたことがよほど恥ずかしかったらしい。
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