アイシールド21夢

□欲しくなる
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峨王をジッと見つめる瞳は、強い。


クリスマスボウルまであと1戦を勝ち抜くだけという、土壇場。
泥門と白秋が戦うこの日、初めて間近であの小さい女の子を見た。

部員が少ない割にマネは2人いるという特殊さに視線をやれば、1人は美人で1人は可愛いという贅沢ぶり。
時間をかけて観察せずとも、小さくて可愛い方のマネは部員全員に溺愛されていることがわかった。
けれどその溺愛はお飾りのマネとしてではなく、有能なマネとしての溺愛でもあった。
タイムアウトやハーフタイムになると、ゼンマイ仕掛けのおもちゃのように走り回り、その姿は一躍男子の中で有名になっている。
(特に食いつきがいいのが神龍寺のメンバーであることはあえて言わなくてもわかって貰えていると思うが。)
部員だろうが助っ人だろうが、分け隔て無い笑顔。
黄色人種にしては白い手が、真っ白なテーピングを巻き直す。
赤いユニフォームに彼女の白い手が重なると、彼女の白さと細さが浮き彫りにされて、息を呑む。
心底楽しそうに笑い、仲間を信じて暗号を送り、プレイが成功すれば目を輝かせ、失敗すれば一瞬だけ目で悲しんでから気持ちを切り替える。
ヒル魔やセナくんから話しかけられて、笑顔を返して、そして頷く。
その笑顔が、純粋で。

ーーー欲しい。

そう、思った。
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