アイシールド21夢

□そのたった一言が、
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撮影とインタビューを待つ間、デビルバッツのメンバーはほとんど口を開かなかった。
よりにもよって大会9連覇中の神龍寺が1回戦の相手になってしまったのだ。
諦めがよぎっているわけではないが、空気は重たい。

棗が席を立ってから、数分の時が流れてもその空気は変わらなかった。
ヒル魔たちとムサシはその空気に飲まれてはいないものの、口を開かない。
頭の中でシミュレーションを繰り返し、練習メニューを組み立てる。
ヒル魔は知りうる限りの情報の中から弱点を探し出そうと試みるが、神龍寺の弱点などないに等しい。
無意識に舌打ちをすると、何人かが肩を揺らした。
そして、ふと気がついた。


「…糞小動物は?」

「さっきお手洗いに…」


ヒル魔の問いかけにまもりが答える。
だが少しして時計を見た。


「ちょっと、…遅いわね」

「迷子にでもなってんのか?」


からかうような言葉を発したのは十文字。
その言葉尻に黒木と戸叶がありえそー、と乗って笑った。
でもそろそろ10分経つわ、とまもりが言えばメンバーはシンと静まりかえった。
僅かに瞳を揺らしながらまもりが口を開いた。


「体調でも、」


ビーーッ!ビーーッ!ビーーッ!ビーーッ!
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