アイシールド21夢

□繋ぐ縁
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棗の抱える紙袋いっぱいに入ったリンゴは、10個を軽く越していた。
ノルマは1人5個程度のはずだったのだが、十文字たち3兄弟に押し切られた結果がこうだ。
また瀧がいらないジェントルマン精神を出して、レディーにはオマケだよ、と上乗せしてくれた分もある。
果物は好きだが、この量を数日の間に食べきるのは無理があるだろう。

ーーーアップルパイに、リンゴのサラダに、ジャムにシロップ煮…。あ、タケ兄のおじさんにもお見舞いで渡しに…。

棗がそんなことを考えていると、鋭い声と同時に強く腕を引かれた。


「危ねぇっ!」


右腕を強く引かれたせいで、抱えていた紙袋が落ちそうになる。
どうにか体勢を整えようとした瞬間、目の前を無点灯自転車が猛スピードで通り過ぎた。
自転車のつくった風が前髪を揺らすのと同時に、リンゴがこぼれ落ちる。
落ちていく赤がやけに目を引いた。


「うわ、チョー早えー…。ンハッ!リンゴじゃんっ」


隣から声が聞こえ、その主は屈んでリンゴを拾ってくれた。
未だ驚きで頭が真っ白な棗は声が出ないにもかかわらず、ありがとうございます、と答える。
だがその人がしっかり背を伸ばした時、その背の高さに目を丸くした。
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