アイシールド21夢

□天使の祝福
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全体練習が終わり、各自が部屋に戻っていった。
まだ数名は自主練の為に残るようだが、主要メンバーのほとんどは部屋に引き返していた。
飲み物を手にとって中坊は窓の下で未だ動き回っている棗を見た。


「あの、棗先輩って…すごいッスね…」


中坊のそれは、心底感心した声だった。
呆けた呟きにも似た声はその部屋にいたメンバー全員の耳に入った。
真っ先にその言葉に頷いたのは大和だった。


「ああ。沫咲さんは人のことをよく見てる」

「視点の広さはマネには重要だ」


続けた鷹に大和が頷く。
鷹は口調だけを切り取れば素っ気ないような言い方だが、その瞳は優しい。
きっと棗の仕事ぶりや話した時のことを思い出しているのだろう。
キッドはその鷹の表情を見て、彼も捕まった内の1人か、と肩をすくめる。
もちろん、自分もそうなのだが。
むしろ彼女と話したことがある人間で、彼女に惹かれなかった人などいるのだろうか。
キッドはそう考えて、口を出さず周囲の声を聞くことにした。
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