アイシールド21夢
□たくさんの笑顔
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「ここ押して、」
「で、この画面になったら真ん中のボタンを押すの」
シャリーン
「ね?これで撮れた」
昼休みに集まった女子たちは携帯を片手に笑っている。
その輪の中心は嬉しそうに笑う棗。
「(ありがとう)」
口が動いて、その唇が弧を描くと周りも嬉しそうに微笑む。
その連鎖に1−2はとても明るくなったと評判で、教師たちも喜んでいた。
撮れた画像はこうやって…というアフターケアも教わり、棗は携帯機能の便利さに感心していた。
***
その日、珍しく陸は携帯をベンチの上に置きっぱなしにしていた。
いつもならば鞄の中に入っているそれだが、ストラップが壊れたのをマネであるヒナが直してくれるという話だったのだ。
部活中にはあまり鳴らない携帯だったが、その日は休憩直後にバイブ機能が働いた。
走り込んでいた陸はまだ校庭の端にいたのでキッドが気を利かせてそのバイブを止めた。
と、その小窓にうつる名前に声を出してしまった。
「え、沫咲さん?」
その声に過敏な反応を示したのは牛島や井芹だった。
「何ぃ?!」
「沫咲さんって泥門第2マネの、あの沫咲さん?!」
「……はやいですね、キャップ」
キッドも陸の携帯を片手に驚きの表情をしたまま、詰め寄ってきた部員たちにツッコむ。
だが鼻息の荒い部員たちは全く聞いていないようで、ため息をついた。
そこへ件の陸がやっとベンチに帰ってきた。