アイシールド21夢

□はじけた泡
1ページ/3ページ

アメリカに来て棗の困り果てた顔を見るのは日常的になった。
それは例えばアメリカ人の背の高さに圧倒されたり、話せないことでの困り顔だったりが主だった。
ただ、昼を少し過ぎてから入ったマクドナルドでも困ることがあった。

炭酸が苦手ーーーいや、飲めないと言っていいほどーーーである棗にとって、アメリカはあまり好きな国ではなかった。
どんな飲み物でもほとんどが炭酸を含んでいるせいである。
水ですら炭酸を含んだものが売っているほどなのだ。
コーラが飲めるマルコを羨ましいと思ったことは、この国に来て数知れず。
だがどんなにうらやんでも炭酸が飲めるようになることはなく、ほとんどが紅茶かミネラルウォーターと付き合う日々。
他にもあまり好きではない、という女子もいたが棗はほとんど飲めない状態なのである。
中学の頃からの3年間、ほとんど外で食事をすることはなかった彼女である。
コーラやペプシなどに接する機会はほぼなく、克服するにはいたらなかったようだ。
だが、今、克服するべき状態に陥っている。

英語が出来る大和からセットメニューが手渡された。
棗は日常会話なら出来るのだが(なんといっても一応は帰国子女なのだ)、声が出ない。
セナやモン太などのように英語がほとんど出来ないメンバーに変わって、英語が出来るメンバーが代表して買うことになったのだ。
人数が多く、また育ち盛り食べ盛りの男子の食事のためかなり時間が掛かったが、食事は目の前に用意された。
だが、目の前にあるものの内、ひとつ欠けたもの。
それはドリンクだった。


「あれ、ドリンク…」

「こっちのドリンクはセルフサービスなんだ。ドリンクバーみたいにね」

「なら取りに行かないと…」


そういって、セナやモン太など1年組は席を立った。
大和と鷹が先を歩いてくれているので場所はすぐに分かった。
だがそこを目の前に、棗は困った顔をした。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ