アイシールド21夢

□白い指
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ある日の帰り道、棗が楽しそうに笑っているのをセナとモン太が見かけた。
その笑みは普段見せてくれる物と同じように可愛らしいものだった。
だが問題だったのは、その相手。
背が高く髪の色素の薄いその後ろ姿は、アメフト部員の誰にも当てはまらない。
他校生であれば桜庭あたりに似ているのかも知れないが、桜庭よりは背が低い。
思い当たる節のない男に、セナとモン太は半分パニックになりかけた。
そして、目の前で破顔して男に頭を撫でられる棗の姿に声をなくした。

次の日の朝練はふたりとも全くといっていいほど集中できていなかった。
セナは進とのスクエアランですぐに捕まってしまうし、ようやく本庄のことを吹っ切ったはずのモン太もボールを取りこぼす。
もうすぐクリスマスボウルだというのにふたりの意識が他にあるというのはかなりまずい。
ヒル魔はふたりに集中砲火を浴びせたが、彼らはその場しのぎに集中力を戻しただけで休憩になるとすぐにため息をついてしまった。
そのくせチラチラと棗に視線をやって、棗が気づきそうになると慌てて視線を反らす。
そんなことを何度もしていると、とうとうヒル魔の堪忍袋の緒が切れた。


「テメーら、さっきからなにしてやがる」


怒気をはらんだ言葉と瞳に震え上がる部員達。
怒鳴るでもなく、低く問うてきたその声にセナとモン太がようやく重い口を開いた。


「…昨日、棗が知らない男の人と仲良くしてて…」

「笑顔MAXだったから、…その」

「妬いてる、つーわけか。オイ糞ジジイ、なんか知ってるか」

「いや、あいつの知り合いはほとんどアメフト部関連だと思うんだが」

「誰かを見間違えたっていう可能性はないのかい?」

「…似た人なら、桜庭さんなんですけど…桜庭さんよりは背が低かったし」

「俺?練習の後、高見さんと練習してたから一緒じゃなかったけど」

「…じゃぁ誰だ?」


キッドのフォローも名前を出された桜庭本人から否定されてしまい、見間違い説は消えた。
ヒル魔の疑問に誰もが首をかしげ、遠くの方でボールを片付けている棗に視線をやった。
もうひとりのマネであるまもりが雪光や一休のテーピングなどを終えて通りかかり、その空気の異様さに気がついて声をかける。
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