アイシールド21夢

□君がいる
1ページ/2ページ

はまってしまえば、麻薬のように手放せなくなる。
そんな危惧すら抱きつつ、タタンカは横で笑う棗と時間を共にしていた。
今まで出逢ってきた人たちと交わるようでいて、一線を画している棗という存在。
こんなにもずっと笑顔でいて欲しいと、思ったことはない。
いつまでもあたたかな存在で居て欲しいと、心から願ったことはない。
手を差し出せば当たり前に手を繋いでくれる。
表情だけでなく雰囲気全体に感情が表れること。
笑ってくれればそれだけで自分に勇気をくれる存在。

お菓子を差し入れれば華が飛ぶような笑顔でお礼を言える純粋さ。
誰かが怪我をすれば痛みを感じ取って自分の表情も歪める純真さ。
大好きだと言われれば私も大好きです、と返してくれる無垢さ。
人によく思われたい・人に愛されたい・優しくされたいから優しくする・愛されたいから愛するーーー。
そういった見返りばかりを求める人間が多い中で、棗はただ与え続けてくれる。
柔らかく微笑んで、優しくあって、すべての気持ちを等身大でぶつけてくる。
自分達が見返りは当たり前と思って大事にしない感情や気持ちを、棗はひとつひとつ丁寧に拾い上げて自分の糧にしている。
忘れてしまいがちな、感謝の気持ちや人を思いやる心。
それらがどれだけ大切で大事かということを、棗はきっと知っているのだ。
だからこそ、純粋に人を想える。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ