アイシールド21夢

□恋を終わらせた
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きっと、どこかでは分かっていた。
自分が抱いていたこの気持ちは、おそらく恋ではなかったのだと。
けれどそれを認めるのはやっぱり悲しくて、ずっと押さえ込んでいた。
これは恋なのだと思い込みたくて、あの人の好きなところをたくさん挙げて、笑顔を思い出した。
笑顔を思い出す度に心臓は素直に鳴って、それにホッとして。
だから大丈夫だと、そう思ったのに。


「おはよう、モン太」

「オッス!セナ」

「(おはよう。セナ、モン太)」

「おはよう、棗」

「ハヨー、棗」


こうやって棗を前にするだけで、心臓は強く鳴る。
あの人のーーーまもりさんを想うときよりも、ずっと強く。
セナと話し込む姿が寂しくて、あの横顔をどうやってこちらに向けようかと真剣に考えて。
幼なじみだというムサシ先輩と笑う姿が羨ましくて、どうやったら俺に笑いかけてくれるかを必死に考えて。
棗の一挙一動に心臓は跳ね上がり、胸は痛くなったり温かくなったりする。

昨日のニュースを話したり、一緒に昼飯を食べたり、宿題のヒントをもらったり、調理実習のお菓子を分けてもらったり…。
ただなんでもなく学校生活をおくっているだけなのに、そこに棗がいると嬉しくて堪らない。
棗が笑っていたり、驚いていたり、嬉しそうだったりするだけで、幸せな気持ちになる。
まもりさんにだって、そう感じることはあった。
だけど、それとはなにかが違う気がする。
喜んで欲しい。
その気持ちは変わらないのに、どこかが決定的に違う。
俺は頭が悪いから、その違いがなんなのかは分からない。
けれど、それでも。
このふたつの想いは似通っているけれど絶対的に違うものだってことは、本能的に分かっていた。
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