コナン夢

□その笑顔は反則だから
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「ねえ棗。明日の待ち合わせ、何時にする?」

「え?」

「え?ってなによぉ。明日は工藤くんの試合でしょ?
 試合会場が他校じゃないだけマシだけど、早めに来ないと良い席とられちゃうじゃない」

「…うん…、、、」


都大会準優勝という功績を残したサッカー部の三年は、引き継ぎを終えて引退していた。
その引退者の中にはもちろん新一の名前もあった。
しかし高校ではサッカーを続けない、と新一が宣言したことで、急遽他校との試合が組まれることになった。
Jリーグからも誘いを受けた新一と試合をしたがる選手や学校は数多く、翌日も某中学と試合することになっていたのだ。
その試合観戦のため、棗と園子は放課後になってようやく待ち合わせ時間を決めるために相談を始めた。
棗が幼なじみである新一の応援に駆けつけるのはいつものことだったし、園子は園子でサッカー部にお気に入りがいる。
そのためふたりは一緒にサッカー部の試合を観戦するのが常だった。
けれど珍しく歯切れの悪い棗の口調に、園子は驚いた。
いつもの棗ならば微笑みながら何時にしようか、と乗ってくれるというのに、今日はどうも様子がおかしい。


「棗、なにかあったの?あ、もしかして工藤くんと喧嘩してるとか?」

「…ううん。喧嘩なんて…してない、よ」


戸惑うように妙な間を空けながら話す棗に園子は首をかしげた。
棗は意外と頑ななところがあるので、自分の負の気持ちや人の悪口を口にしないことが多い。
なにか困ったことがあっても自分の中で消化して、相談したり周囲に頼らないのだ。
今回もそうかも知れないと思ったものの、ここまで元気と覇気がないのは珍しい。


「…ねぇ棗。話してよ。親友、でしょ?」


園子の言葉に棗はゆっくりと視線を上げた。
その表情はいかにも"困っています"という色を醸し出している。
棗は少し間を置いてから、ようやく口を開いた。
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