□夜の空中散歩
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ドーンと腹に響くような爆音がした。
部屋にいたナツメは驚いて部屋から飛び出したが、
兵達が廊下を走り回っているのに気がつくとただ事ではないと悟る。
だが、自分も同じように兵達の走る先へは向かわない。
自分が出来ることの少なさをちゃんと理解できているのだろう。

「ナツメ様」

ノックと共にナツメの父である将軍の側近がドアを開けた。
将軍は第一に自分の娘の安全を確保したかったのだろう。

「もう飛行戦艦は到着しております。それに乗ってお待ちくださいとのことです」
「…何か慌ただしいようですが…?」
「いえ、ナツメ様が気に掛けるようなことはなにも」

将軍の側近達は笑み一つも見せず、ナツメを部屋から連れ出そうとする。
ナツメはその不躾な様子にわからない程度に眉を寄せるが、それには気づかないらしい。

「わかりました。すぐに」

そう言って少々の着替えと本を鞄に詰める。
それを当然のように側近が持つと、ナツメは部屋を後にした。



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