夢
□試練
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土日をつぶした文化祭が終わると、仁王は振替休日の月曜日を例の公園でつぶした。
段々と聞き慣れてきた曲をたどたどしく口ずさみ、けれど彼女の高音だけは邪魔をせず聴き惚れる。
何度聞いても魅了されるその声を愛おしく思いながら帰路につこうと思った時。
春間中の公表用掲示板のポスターに視線を奪われた。
よくよく読んでいけばそれは合唱・吹奏楽の合同コンサートのポスター。
それを見た仁王は驚きに目を丸くし、そしてにやりと口元で笑って見せた。
ーーー合唱部、のう…
その地区の希望する学校全てが参加できるというコンサート。
午前中に合唱部の発表、午後に吹奏楽部の発表という流れになっている。
掲示板に貼ってあると言うことはこの春間中も参加すると言うことだろう。
そこにはおそらく…。
いや、確実と言っていい確率でーーー。
ーーーやっと、やっと逢えるんじゃ…!
声の主に逢える。
目の前でその声を聴くことができる。
仁王は嬉しそうに瞳を細めると、後輩指導のために毎週行っている部活をどうやって休むかを試算していた。
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