□友人たち
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仁王の心の瀕死状態は教師たちの間でも有名になりつつあった。
テストをやらせればいつも通り良い点数を取るが、全てにおいて無気力状態。
教師に問題を当てられても答えだけを言って席に座ってしまう。
扱いやすい、と言ってしまえばそれまでだが、今までの仁王を知っている教師たちは策を考え始めていた。
まず担任が仁王と緊急の二者面談を行ったが何を言っても仁王は沈黙したままだった。
次に比較的仲のいいとされている副担任が同じように面談を行ったが、結果は変わらなかった。
そこで教師たちの結論はこうだった。
仲が良く少し前までチームメイトであった元テニス部の3年メンバーに子細を聞いてもらう。
気を許している幸村や柳生たちならばそれができると思ったのだろう。
だが同じクラスの丸井にもできないことを簡単にやってのけるのは難しい。
幸村たちはいつも通り昼食を食べながら、探りを入れてみた。


「仁王。この頃覇気がないみたいだけど…どうかしたのかい?」

「…別に何でもなかとよ」


仁王が素っ気なく答え、その場は沈黙してしまう。
聞いた幸村は困ったように眉を寄せちらりと柳生に視線を向けた。
柳生はそれを受け取るとかすかにうなずいた。
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