COWBOY BEBOP夢(完結)
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外はあんまり変わってなかった。
空には宇宙船が浮いてたりしてたけど、だから言ってそんなに変わってなかった。
ヴィンセントは早足で、私が空を観察している間に先へ行ってしまう。
はぐれたらもう会えない気がして走ってついていく。
ヴィンセントは待たない。
でも、それが彼だ。
彼が店にはいると、ものすごく浮いているような気がした。
でもきっと私も浮いているんだろうなと感じて、気にしないことにした。
ヴィンセントは黒いコートに合う帽子を買った。
魔女の帽子だ。
何も言われなかったけど、私がぬいぐるみを手に取ると、それを攫うように持って行った。
ぬいぐるみはハロウィンコスプレをしてるもの。
いいの?と聞こうと思ったけど、やめておいた。
部屋に帰ってくると、私は勝手にヴィンセントの帽子を被った。
そしてヴィンセントにお決まりの言葉を言った。
「Trick or Treat!」
ヴィンセントはぬいぐるみを私に渡した。
これでいたずらは決行不能だ。
「…ありがとう」
ヴィンセントに帽子をかぶせてあげる。
片手にぬいぐるみを持ってたからちょっとやりにくかったけど
どうにか背の高いヴィンセントに帽子をかぶすことが出来た。
そしてちょっとだけ襟や髪を直してあげれば、もう完璧。
「意外に似合うね」
そう告げるとヴィンセントは私の頭を撫でて、ソリタリアのあるテーブルに向かった。
>服を直してあげるとき、自分たちを夫婦みたいだと思った私は、馬鹿かもしれない。