COWBOY BEBOP夢(完結)
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…鏡があったらこのコートを着てる姿を自分で見られるのに。
ちょっとだけ残念になってコートに視線を落とす。
裾を持ってドレスのように一回転。
馬鹿っぽいけど、やってみたかったことなんだよね。
「…ヴィンセントって黒しか着ないよね」
「お前のように白やら緑やらを着ろというのか」
「ぅえっ?!」
「…帰った」
独り言に返事が返ってきて勢いよく後ろを振り向いた。
勢いよすぎて首がグキッと嫌な音を立てた。
思いっきりヴィンセントの服を着てる私。
ヴィンセントは何も言わなかったけど、私を見た。
「…あー、えっと」
「さすがに、大きいな」
「あ、…そだね。裾、引きずりそうだ」
「ナツメはあまり黒が似合わないな」
呟くように言われて、視線をコートからヴィンセントに引き上げた。
相変わらずの無表情だったけどその目が私を映している。
「似合わないかな?私、色白いから結構似合うって言われたことあるんだけど」
「………」
「ヴィンセントは、何色なら私に似合うと思う?」
無言のまま、ヴィンセントは私にキスをした。
考えてくれているのか、誤魔化したいのか。
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