COWBOY BEBOP夢(完結)
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仮装禁止令
ヴィンセントが居ない間、暇だったので魔女の帽子を被ってた。
大人用の所為か少し頭が大きめなので、私が被ると鼻位まで埋まってしまう。
そしてその時ちょうど、ヴィンセントが帰ってきた。
…ギィと鳴った床で勝手に判断したんだけど。
「おかえり」
「…やぁ、ただいま」
声が違って、言葉が違って、キャラが違って。
帽子をバッと脱ぐとそこには全然知らない男。
目を見開いている間にその男は近寄ってきて、私は当たり前に奥に追いつめられていく。
笑い方の下品なその男は、床をギイギイ鳴らして近寄ってくる。
ヴィンセントは床を鳴らすことなんて全然無いのに、なんて現実逃避したがる頭。
でも現実はあと5歩も下がれば、窓枠に手が触れるだろう。
「君、ここに住んでるんだろ?
こんな場所にさぁ、君みたいな女の子が住んじゃぁ、だめだよ」
「こ、ないで…」
「家出かな?それともホテル代浮かせてるの?
この間から壁越しにアンアン声が聞こえてねぇ、…お楽しみなんだろ?」
「ち、…がう!」
「ここでウリでもしてるのか?なら俺にもその身体、売ってくれよ」
「違うっ!…や、っやだ、来ないっ、でよっ!」
声はガタガタ震えてて、身体全身でこの男を怖がってる。
なのに視線はどうしても外せなくて、男のニヤリと歪んだ口元を見てしまった。