COWBOY BEBOP夢(完結)

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夕食はパンプキンスープ


「ヴィンセント、今日は出掛けないの?」

「…あぁ」

「そっか!ならさぁ、一緒にご飯作らない?」


ソリタリア中のヴィンセントに笑いかけると、ヴィンセントは少しした後顔を上げた。
その顔には無表情だけが浮かんでいる。

いつも食事を買ってきてくれるのはヴィンセントで、私は外には出ない。
私はあまり外を知らないし、私みたいな見た目からも容易に普通人だとわかる人が
このビルに出入りするのは目立つらしい。
だけど安全だと思っていたこの部屋で昨日の夜、私は襲われた。
それを気にしてくれているのか、ヴィンセントの返事は色よいものだった。


「ここで料理をするつもりなのか…?」

「う。…でも、出来合いばっかりはあんまり良くないと思う…」

「ナツメは菓子が多いが…」

「でもちゃんと食べてるもん!」

「……外に食べに行くか?」


ヴィンセントのトーンは変わらない。
昨日、何かをしてきた筈なのに、堂々と出掛けようと言うなんて。
でもきっと捕まらないって思ってるんだろうな。
…むしろ、それすらもどうでも良いのかもしれない。


「…ううん。ただね、かぼちゃ食べたくて」

「……そうか」

「うん。気にしないで」


笑った私をヴィンセントは数秒見つめて、またソリタリアに視線を戻した。
私のわがままに反応してくれただけで嬉しい。


「ありがとう、ヴィンセント」


昨日のお礼も込めてヴィンセントに笑いかけた。
ヴィンセントの視線は私を捉えていないけど、そんなのはどうでも良い。
ただ、言いたかった。
…自己満足なのかな。
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