COWBOY BEBOP夢(完結)

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シーツで即席おばけ



部屋に戻ると、男の死体と美人で派手なお姉さんの死体?が出迎えてくれた。
恐怖から握っていた手を強く握ると、血が香る手で頬を撫でられる。
ヴィンセントの親指が自由に動いて、唇をなぞる。

派手な女の人が生きていることを知ると、私は少しだけ悲しくなった。
ヴィンセントはこの人を生かすために血を分けたんだ。
勝手に私だけが特別だと思っていたから、気付いたときは恥ずかしさと嫉妬が身体を駆け巡った。


「ナツメ、これを」


簡潔な言葉とともに渡されたのは初めて見る拳銃。
銃口近くが血で濡れているのは奪ったときについたのかな?
ナイフ以上に受け取りたくなくて、髪が乱れる程頭を大きく振った。
そして血の流れ続ける手を洗うために、ヴィンセントを無理矢理洗面所に押し込む。
傷口をきれいに洗ったヴィンセントが帰ってきて、ハンカチを巻いた。

拳銃はヴィンセントが持ったまま。


男の死体は入り口から部屋の角っこに移動させて、お姉さんも移動させる。
お姉さんの手足を2人で縛って自由を奪う。
謝ったらヴィンセントが傷つく。
でも私も傷ついてる。


「…座ってろ」


椅子に座って、手持ちぶさたに視線をウロウロと彷徨わせる。
そうするとソリタリアと机に穴が空いていること、窓ガラスが割れていることに気がついた。
きっとこの銃で撃たれたナノマシンが男の人を殺したんだ。

お姉さんの格好はもう秋終わりのこの時期には寒々しい。
私は暖かめのアウターがあるからいいけど、お腹とか冷えないんだろうか…。


ふと、気配がして。
見てみるとお姉さんがソロソロとヴィンセントに視線を向けていた。
お姉さんはヴィンセントを質問攻めにした。
その声は綺麗な甘い声で、大人の色香を感じさせた。
負けずに色気のある低い声が答える。


「俺たちのようにな」


その一言が嬉しかった。
私も、ヴィンセントと生きていて良いんだ。
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