COWBOY BEBOP夢(完結)
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溢れんばかりの菓子かご
自分のくしゃみで目が覚めた。
頭が全然働かなくて、ぼーっと視線を彷徨わせる。
するとお姉さんが私のことを見ていた。
すごく、見ていた。
「…ねぇ、ちょっと」
「あ、…はい」
「あんた、なんであんなのといるの?」
お姉さんはヴィンセントをあんなの、と呼んだ。
そりゃぁ、ヴィンセントは人を殺してるみたいだし、悪いこともしてるみたい。
それにお姉さんを人質に取ってるし、何がしたいのかもよくわからない。
でも。
…でも。
「あんなの、なんて呼ばないで」
「は?」
「ヴィンセントをあんなのなんて、呼ばないで!」
いきなりこの世界にオトされた私は、不安だけが心を支配してた。
でもヴィンセントは、私を助けてくれた。
何者かもわからない私を、抱きしめてくれた。
愛してくれた。
この半月近くで、溢れてしまいそうな位の愛と幸せをくれた。